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1ポンド

2009.04.10/Fri/15:38:25

 前回はヤマハについて触れたが、今回はホンダについて触れてみたい。

 題名の1ポンドとは、先日明らかにされたロス・ブラウン率いるブラウンGPチームに対するホンダF1チームの売却額だ。

 要するに、たった1ポンドで数百億円以上投資した工場や風洞施設などの施設のみではなく、知的所有権などの無形資産も含めた全ての資産を売却していた。

 その結果・・・

 知ってのとおり、1ポンドの価値しかないブラウンGPはとうの昔にピークを過ぎたJ・バトンの開幕2連勝。
 最古参のR・バリチェロもポイントランク2位につけている。
 もちろん、コンストラクターズ・ポイントはぶっちぎりのトップである。


 さてさて、この決断をした福井社長を始めとする現ホンダ経営陣はどう思っているのだろうか?

 F1を牛耳るB・エクレストンからは、「「巨額の資金をつぎこんで回収することもできず、おそらくはクルマのポテンシャルにも気づかなかったのだろう。もし彼らがそのポテンシャルに気がついていたら、撤退しなかっただろうね。」と完全に小馬鹿扱いだ。

 また、ブラウンGP代表のR・ブラウンも「ホンダは非常に悔しがっている」というコメントを出している。

 ホンダは、決して成績が悪かったから撤退したのではなく、F1をビジネスとして捉えた結果、継続するメリットが無いので完全撤退という判断を下したのだから、B・エクレストンやR・ブラウンらの理不尽且つ無礼な発言に毅然とした態度を示すべきじゃないのか。

 しかし、何故かホンダ広報は一切のコメントを避けているとのこと。

 まぁ自分もそうだが、殆どのF1ウォッチャーは、B・エクレストンやR・ブラウンらの発言に真実を感じているんだろう。

 「実は、勝てないどころかゲッパ争いの日々に耐えられず、これ以上恥かきたくない一心で時節柄の屁理屈捏ねて大損こいて撤退したものの、蓋をあけたらこの通り。ただ現経営陣の見る目の無さだけ露呈してしまったとさ。」ってね。

 実はホンダというメーカーは、日本メーカーの中で最もAT比率、ミニバン比率が高い自動車メーカーであり、市販車においては日本のどのメーカーよりもスポーツから最も遠い車を作り続けているにも関わらず、これまでは、創業者が築き上げた独創性、技術力、スポーツ性という偉大というしかないアイディンティティを、大きくは損ねずに生きながらえてきた。

 要するに、動質的にはスポーティでも何でもない普通のファミリーカーを、顧客が勝手にポジティブイメージを抱いて買ってくれていた訳。

 だからこそ、オデッセイのような生活臭が漂うミニバンに、「いい車が好きだ。男ですから」なんてCMを平気で打てるのだ。


 こんなのは当然数値化出来る訳はないが、ブラウンGPが成功すればするほど、ホンダというメーカーが持っていたアイディンティティは大きく傷つき、会社に対する信頼度も奈落の底に落ちていくのではないか。

 顧客の幻想が崩れ去った後、ホンダ車を積極的に選ぶ理由を持ち続けられるのか?

 志も何もトヨタと変わらないなら別にトヨタ車でいい。そうなりはしないか。

 今回の一件は、実はホンダという大メーカーの存亡に関わっていく端緒の一件だった。

 将来、こんなコメントを見ることになる気がしてやまない。

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